太平洋戦争末期の沖縄戦を住民の目線で克明に記録した「沖縄戦記 鉄の暴風」が今年6月に文庫化され、増刷を重ねている。戦後まもない1950年に沖縄タイムス社(那覇市)が編集した書籍を、筑摩書房(東京)が復刻。世界情勢が不安定化する今、戦争の実相を考える本として発信されている。
文庫版は、古典や入手困難な著作を復刊する同社のシリーズ「ちくま学芸文庫」から出版された。10月までの約5カ月間で4刷、累計販売部数は約7700部と、シリーズ内でも好調な売れ行きだという。
「鉄の暴風」は、日本が米ハワイ・真珠湾を攻撃した41年から敗戦の45年まで、沖縄で起きたことを住民目線で描くノンフィクション。特に、米軍が沖縄に上陸した45年3月末以降の記述は詳細だ。
艦砲射撃や空爆の中を逃げ惑った住民や、日本軍に渡された手投げ弾で「集団自決」を強いられた住民。学徒動員されたり、戦闘終結後も餓死や自死したりした人々の姿が記録されている。
出版社の直観「戦争のリアルが詰め込まれている」
執筆者の牧港篤三さんと太田…